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裁判所書記官ってどんな仕事をしているの? その1

裁判所書記官は、裁判でのやりとりを記録した『調書』をつくるのが主な仕事です。今回は、裁判所書記官の大事なお仕事「調書作成」について紹介します。

目次

裁判所書記官は裁判官とは独立して仕事をする

仕事の中で一番重要なのが『調書』を作ることです。他にも裁判の進行管理や裁判記録の保管も担当しています。

英語では裁判所書記官のことをコートマネージャーとよんでいます。マネージャーといっても裁判官の下で働く秘書ではなく、裁判所書記官は裁判官とは独立して仕事をしています。

調書とは、法廷で行われたことを残しておく文書

調書とは、法廷で行われたことを残しておく文書です。解説書には、次のように定義されています。

公判調書は、公判期日における訴訟手続が法定の方法に従い適法に行われたか否かを公証するために、裁判所書記官が、公判期日における訴訟手続きの経過及び結果を記述して報告する文書である。

『公判手続と調書講義案』より引用

調書は以下のようにも説明されています。

1.公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによって証明することができる

法廷で行われたことを証明できるのは、裁判所書記官の作る公判調書だけということです。裁判官は、この公判調書や証拠などに基づいて判決を出します。なので、調書に書かれていないことを根拠に判決を作ってはいけません。

2.裁判官が交代したときに、それまでに審理が行われたかを裁判官が把握するためにも公判調書は必要である。

裁判官が途中で人事異動で転勤することがあります。その後、新しく着任した裁判官は、法廷でどんなやり取りがされたのかを知るために公判調書を読みます。

3.公判の審理がにわたる場合には、公判調書により裁判官ほか訴訟関係人の記憶を確保する必要がある。

公判が長引くと、どうしても最初の頃の記憶は薄れてしまいます。調書があると、記憶の確保をすることができますね。

 4.上訴が出たときに、上訴審が、下級審の判決の当否を審査するために審理の状況を知る必要がある。

裁判が控訴・上告で高裁や最高裁に持ち込まれたときに、そもそも地裁でどんなことが行われたかを知るために公判調書を見る必要があります。このように公判調書は裁判において、とても大事なものなのです。

そして裁判所書記官はその大事な調書を作る大切な役割を担っています。

裁判所書記官は「調書」の作成が仕事

法廷で、裁判官の一段下でパソコンで何やら作業している姿が見られると思います。「書記官」というと「発言を一言一句メモしているのかな?」と思われることがあります。しかし、それは速記官という別の役職の仕事なんです。

裁判所書記官は法廷でのやりとりを法律的に構成した上で、必要な事項を記載した調書を作成するのが仕事です。

と、言われてもよくわからないと思うので、刑事事件の調書を実際に作ってみました。

【刑事裁判】公判調書

公判調書ってこういうものです。他にもいろいろあるけど、分かりやすいものにしています。ちなみにこれは『公判手続と調書講義案』という書籍を参考に作成しています。

しゃべった言葉をそのまま記録しているわけではないのです。でも、しゃべったとおりの言葉を書くこともあります。

たとえば、この『被告人の最終陳述』という部分は被告人がしゃべったとおりに書くことになっています。なので、最終陳述を長く話されると、その通りに書かないといけないので、ページ数がどんどん伸びていきます。

私が書いたことのある最長の最終陳述は、A4用紙2ページ半くらいの量になりました。もちろんしゃべったとおり逐語ちくごで書きました。逐語ちくごというのは、一言一句そのまま書く、という意味です。

最終陳述は一言一句そのまま書きますが、その前に行われる証拠調べの一環として「証人尋問」や「被告人質問」があります。

証人尋問と被告人質問は書き方が3種類ある

証人尋問や被告人質問では、被告人がしゃべっていることを記載します。調書の書き方として、種類が3つあります。

シンプル度発言の再現度
①要旨調書(ようしちょうしょ)☆☆☆☆☆
②要領調書(ようりょうちょうしょ)☆☆☆☆☆☆
③逐語調書(ちくごちょうしょ)☆☆☆☆☆

まず、①の要旨調書が一番速く書けます。検察官と弁護人の了解を取ると要旨だけを書くことができます。要旨調書はたとえばこんな感じ↓

1 私がやったことに間違いありません。
2 被害者の方には、本当に申し訳なく思っています。

こうやって発言の前に番号を振ることになっています。これに対して③の逐語調書は、

検察官 
   今回の事件は、あなたがやったことで間違いないですか。
被告人
   私がやりました。
検察官
   被害者に対して、今どう思っていますか。
被告人
   被害者の方に対しては、申し訳ないことをしたと思っています。

発言者と発言内容を一言一句そのまま書きます。調書ではハテナマークやビックリマークは使いません。

一言一句書くってとっても大変なんです。ちなみに②の要領調書も逐語調書と似ていますが、これは質問と回答を簡潔にまとめたものです。

書記官くま

正直、要領調書ってほぼ書いたことないです。

発言をまとめるくらいなら逐語で書いた方が早く書けます。なので、実質、要旨と逐語の二択状態です。しかし、被告人が犯行を否認している事件や、裁判員裁判対象事件など重大な事件の場合は、ほどんど逐語で発言を記録します。一言一句そのままです。しかもそういった事件の場合は質問と回答が長くなることがほとんどです。

それを書記官が作るのは大変なので、速記官に頼んだり、録音反訳(ろくおんはんやく)といった外注を行い、調書作成をお手伝いしてもらっています。

調書は形式が決まっている

調書は基本の形は決まっているので、実は第1回の裁判が始まる前に結構作れちゃいます。

特にこの部分は、もはや不動文字と言って良いくらいです。特に、刑事裁判の調書は記載することが決まっているので、書き加えることは、被告人の認否と最終陳述です。

民事裁判の調書も書くことは決まっているので、こちらも事前に作ることができます。ただし…、

・答弁書は出るのか
・被告から反応はないけど出頭するのか
・もう1回裁判の期日を開くのか
・次回は、もう判決を出す期日にしてしまうのか

など、進行が若干読めないこともあります。そのため刑事裁判のように事前にかっちりと作るのは難しいです。

調書作成は裁判所書記官固有のお仕事

調書は大切な役割をもっており、調書は裁判所書記官のみが作成することができます。したがって、裁判官や裁判所事務官が代わって作成することはできません。それほど、裁判所書記官にとっては重要な仕事なのです。

もしテレビや傍聴で裁判所書記官を見たら、調書って言うのを作っているんだなぁと思ってもらえると嬉しいです。他にも【記録の管理】【訴状審査】【期日指定】という仕事も紹介しているので、良ければ読んでみてくださいね。

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