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被告と被告人、被疑者と容疑者

報道では民事事件でも刑事事件でも訴えられた側を「被告」と呼んでごっちゃにしていますが、裁判所ではきちんと分けています。

gurugur
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被告と被告人

民事事件では訴えられた相手のことを「被告」といい、刑事事件では「被告人」といいます。
これは、法律できちんと区別されているからです。

刑事事件では、「○○被告」ではなく「○○被告人」もしくは「被告人」と呼んでいます。

一方、民事の法廷では訴えた側を「原告」、訴えられた側を「被告」と呼びます。

このように裁判所では、刑事事件と民事事件で「被告」と「被告人」をきちんと分けているのです。

ですが。

テレビでは訴えられた側をすべて「被告」と呼んでいます。みなさんもよく聞いていると思います。

裁判所ではなるべく「さん付け」で呼んでいます。

民事裁判で報道される事件は、相手(被告側)が企業だったり国だったりと、わりと大きな組織だったりすることが多いので、「被告」と言わず、「○○会社は~」とか「国は~」のような言い方をしている気がします。

だから刑事事件での「被告」呼びが目立っているのかなと思います。そのせいか、「被告」=「犯罪者」と思ってしまう人が多いです。

そのため、民事で被告になった人が「犯罪者みたいじゃないか!」と怒ることもあります。

私は怒られたことはないのですが、「悪いことしてるみたいじゃん」とムスっとされたことはあります。

そのときは、「テレビでは被告って言ってますけどあれ本当は違うんですよ~被告と被告人は違うんですよ~」と説明してました。
その人は「へ~そうなんだ」と納得してくれました。いい人だった…

そういうトラブルもあるので、法廷でもなるべく「さん付け」で呼ぶようにしていますし、裁判官もさん付けで呼んでいます。

本人が出廷している場合は「被告○○さん」ではなく、単純に「○○さん」と呼ぶことが多いと思います。ちなみに弁護士がついていると「原告代理人」「被告代理人」と呼びますね。

民事では「呼び上げ」と言って、事件番号,事件名,当事者名を裁判所の事務官か書記官が声に出して言うというものがあります。ちなみに民事訴訟規則第62条に書いてあります。

そのときは当事者名を言わなければならないので「原告○○」「被告○○」と言わなければならないのでそう言いますが、ここでも最近は「原告○○さん」「被告○○さん」と、さん付けをすることが多いです。

なのにマスコミは「被告」と呼ぶ…シクシク

と、なるべくいらぬトラブルが起きないように裁判所が気を使っている中、刑事事件が報道されるときは、「被告人」が「被告」と呼ばれます。

勘弁。

刑事事件で量刑の理由(刑の重さを決めた理由)が報道されるときに、裁判官が発言した内容がテレビでも流れます。法廷ではきちんと「被告人」と言っているのに、なぜ報道するときにわざわざ「被告」と言い換えて報道するのか。

マジ勘弁

ちなみに家庭裁判所で行われる人事訴訟でも、訴えた側を原告、訴えられた側を被告と呼ぶので、これまた「被告だなんて犯罪者みたいじゃないか!」と怒る人もいるようです。
特に人事訴訟は家族間でのトラブルなので、いままでの積もり積もったアレソレがあるんですよねぇ…

ただ私も、どうして被告と被告人なんてまどろっこしい言い方をするのかなぁと思っています。立法者に聞いてみたいところです。

被疑者と容疑者

呼び方の間違いという点では、被疑者と容疑者があります。

逮捕された人の名前が報道されるとき、テレビでは「容疑者」といわれますが、正確には「被疑者」といいます。

起訴されるまでが「被疑者」と呼ばれ、起訴されると「被告人」と呼ばれるようになります。

これはなぜ容疑者と言っているんでしょうね。被疑者と被害者が似ているからという説もあるとかないとか。確かに聞き間違えそうですね。

被疑者は逮捕されると警察署や拘置所に留置されて、48時間以内に検察庁に事件が送られます。

検察官に事件が送られると、テレビで「身柄が検察庁に送られました」と報道されるのはこの部分ですね。

そのあと検察庁は、留置施設に留め置いて引き続き捜査が必要だと判断すると、24時間以内に裁判所に勾留請求をします。

ここで以前に当直勤務の記事で書いた勾留請求の仕事をすることになります。

でも、「検察官が裁判所に勾留請求をしました」とか「裁判所が勾留が必要と判断しました」という報道はあまり聞きません。

大きな事件だと、 「検察官が裁判所に勾留請求をしました」 とか「勾留の判断に対して不服申し立てがありました」と報道されます。

そういう報道があると、こちらも「おっ」と思うくらいなので、めったに報道されませんね。 最近だとカルロス・ゴーン氏の身柄の動向が結構報道されていました。最近といっても三年前かぁ…

皆さんも、もしそんな報道に出会ったら「おっ」と思ってください( ̄▽ ̄)

勾留請求と不服申し立てについては、次回で書こうと思います。

まとめ

「被告人」は刑事事件での呼称、「被告」は民事事件での呼称。呼び方ひとつで全然意味が違うのに、報道ではごっちゃにされている被告と被告人。

テレビで聞くときは私も慣れてしまっているので、いちいち気にしていません。

ですが、実務ではやはりトラブルのもとになっているし、呼ばれる方も気分がいいものではないですよね。しかも裁判なんて知らない一個人が被告になることは往々にしてあるので、ぜひ修正されてほしいと思います。

混ぜるな危険。

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