とても長い記事になってしまっておりますが、今回で最後です。
前回は、試験から面接までのお話をしました。
今回は、研修から任官までのお話です。

実務試験
三次試験の実務試験です。
↓ここまできたよ | ||||
一次試験 | 二次試験 | 三次試験 | ||
12月上旬 | 5月上旬 | 6月下旬~9月上旬 | ||
論文試験 | → | 口述試験 | → | 実務試験 |
実務試験は、埼玉県の和光にある裁判所職員総合研修所というところで行います。
試験といっても、実質的に研修なので、これからは研修という書き方をしていきます。
入所試験の場合は、人数が多いのでクラスも多いのですが、任官試験は人数が少ないので、1クラスだけでした。
班も研修所の方が作っていて、基本班ごとに着席します。
初日にテキストという名の資料が配布されるのですが、すんごい量です。
紙の山です。
クッソ重たい。
キャリー必須です。
授業で使う六法は、判例六法が配布されます。(ちなみに入所試験では配布されないので持参です。)
授業は、座学での講義形式です。
講義のコマ数が一番多かったのは、調書に関する講義です。
調書は、裁判所書記官が作る文書のことです。
さらに言うと、調書は、法廷で行われた内容を証明する唯一の文書なのでとても大事な文書です。
なので、講義のコマ数が多いもの当然かもしれませんね。
調書を作る際の法的根拠を教わり、実際に調書を作る、という繰り返しです。
ちなみにパソコンがないので、手書きです。
講義用に作成された証人尋問の映像が流れて、証人が喋ったことの要点をまとめる、という講義もあるのですが、
それも手書きです。
手書きですよ手書き!!!
手が死ぬ。(実際の仕事はパソコンですよ)
調書を作成する講義では小テストがよく行われて、理解度をチェックされます。
研修期間が短いので、ちゃんと理解していないと取り返すのが難しいからでしょうか。
そこで、あまり成績がよくない人は、
「何月何日何時に教官室に来てください。」
というお呼び出しを食らいます。
そこでは怒られたりするわけではなく、どこを理解していないかを確認されます。
そして、理解していないなら教えてくれます。
マンツーマンのフォローアップですね。
小テストが行われるのは民事と刑事の調書作成の講義です。

ぼくは刑事と民事で1回ずつ呼ばれたよ
よく呼ばれるなかのひと。
刑事裁判の判決点検についても、講義のコマが設けられていました。
刑事裁判の判決は、どういう順番で書くか、ということが決められているので、きっちり講義がありました。
逆に、民事裁判の判決点検という講義はなかったので、民事部に配属されたときに判決をどうやって点検すればいいのか分かりませんでした。
他にも、競売や債権執行、家事、少年などなど、細かい講義の科目を挙げればキリがないのですが、
「1コマ分しか講義がない」という科目もあり、さっぱり理解できないまま終わったものも多くありました。
資料はもっているけど、内容は理解していない。
研修期間が短いと、こういうこともあります。
あと、実務をやらないと忘れる。
最終合格
実務試験の合格発表ってどういう方式なの?
と思われるかもしれませんが、任地を言い渡されれば合格と思って良いでしょう。
なんか雑ですね。
裁判所事務官の採用時に任地が気になり、書記官になるときにも任地が気になる。
任地は、教官や研修所で働く職員が教えてくれる・・・のではありません。
研修生自身が、所属している裁判所の人事に電話をして任地を聞くというシステムでした。



もしもし。くま ですが、任地はどこでしょう



○○県です。



oh…
地方から来ている研修生は、ほぼ自分のホームグラウンドに戻れるのですが、東京管内から研修に来ていた人たちは、ほぼ東京には帰れません。
東京管内の職員は、書記官に任官する際に東京には戻れない、というのはよく言われていることです。
もはや常識。
「一次試験・二次試験の合格者が少ない県」、というのがどうしても出てくるので、そういうところに飛ばされ配属されます。
任官するタイミングが10月なので、たくさんの人が異動する4月でないので人もあまり動かないんですよね。
そこに書記官として新しく入ってくる人をねじ込むのだから、なかなか戻れないですね。
私は、ホームグラウンドに帰れなかった組です。
3年~5年間ホームグラウンド(つまり採用された裁判所)以外で働けば、4月異動で帰れます。
研修を終えて
9月上旬に無事に任地が言い渡されて研修が終わると、所属していた部署に帰ります。
すぐに任官して書記官になるわけではないんです。
裁判所書記官として任官するのは10月1日なので、半月ほど時間があります。
身分はまだ裁判所事務官です。
任官するまでは、裁判所事務官として働きます。
私は、事務官として所属していた部署と書記官として配属される部署がたまたま同じ仕事内容だったので、書記官としての仕事を教わりました。
そこで改めて、
研修通りにはいかないなぁ、
と思いました。
研修所で教えてくれる内容は、基本的なことを教わりますが、
ちょっと基本から逸れると、どうしたらいいか分からない、調書もどう書いたらいいか分からない、
ということがありました。
やっぱり、実際にやって慣れていくしかないと思いました。
そんなこんなで、10月1日に晴れて書記官に任官となりました。
最後に
試験の始まりから終わりまで、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
内部試験のことは、中に入ってからでないと分からないことも多いです。
この記事で、少しでもイメージが湧いたら嬉しいです。
ちなみにですが、
昔は、今回話してきた裁判所書記官任官試験(通称CA)研修の前身としてCP
という試験もありました。試験名なんだったかな…
その試験は、合格と同時に書記官になり、書記官として仕事をしてから研修をするというものでした。
つまり、書記官としての仕事を全く知らないまま(調書の作り方を知らないまま)書記官になる、という制度です。



鬼畜。
コメント