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法廷通訳人のこと

裁判には、通訳人という人物も登場します。

裁判所では日本語を用いることになっています。裁判所法第74条にちゃんと書かれています。なので、法廷での発言や、書類はすべて日本語でなければなりません。

耳の不自由な方のために手話通訳という人もいます。

translation
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通訳人てどうやってなるの?

法廷通訳人になりたい人は、自分で裁判所に連絡します。そして、裁判官と面接を行い、合格すると、法廷通訳基礎研修や模擬裁判を通じて、 通訳人候補者名簿に登載されます。そして、通訳事件をお願いしたいという裁判所からの連絡を受けて、法廷通訳として仕事をします。

面接の内容まではさすがに分かりませんが、よく管理職が「法廷通訳の面接行ってきまーす」と離席していたのをよく見たので、管理職は記録役として同席しているんでしょうね。

法廷通訳人って専業ではないので、通訳業として別に仕事をしていたり、通訳業ではなく全く違う仕事をしながら、裁判に呼ばれたときは法廷通訳人として働いているという人もいます。

どうやって選んでるの?

刑事事件を前提にお話します。

まず、外国人が被告人として起訴されると、裁判所が通訳人候補者名簿から通訳人を選びます。

私は、言語の種類や、罪名、認めているか否認しているかなど、事件が複雑そうかどうかで通訳人を決めています。

どうやって見極めているかというと、これは人によりますが、私は、検察官や弁護人に、認めているか否認しているかを聞いていました。

認めている事件など、比較的短い期間で終わりそうな事件だったら、法廷通訳人になったばかりの人や、法廷通訳経験の少ない人にやってもらったりしていました。そうすれば、法廷通訳人は経験値が上がるし、今後もお願いできる通訳人が増えますからね。

逆に、複雑な事件や、裁判員裁判などは、経験豊富な人を選びます。裁判員裁判は長丁場になるものもあるので、場合によっては通訳人を二人選んで、交代で通訳してもらったり、相互に通訳内容の確認をしてもらうこともあります。

どんな仕事をしてるの?

こちらも刑事事件を前提にお話しします。

まず、起訴状が来た際に、起訴状の内容を翻訳してもらわないといけないので、通訳人候補者名簿から、通訳人を探して、起訴状の翻訳をお願いしています。

だいたい、起訴状の翻訳をしてもらった人に法廷での通訳をお願いしています。

法廷で通訳をしてもらうときは、通訳人にワイヤレスマイクをつけてもらい、被告人はイヤホンを装着します。冒頭陳述や、証拠の要旨、論告と弁論は同時通訳をするので、イヤホンがあるほうが通訳人の声がよく聞こえます。

ですが、通訳人には、起訴状の翻訳や法廷での通訳のほかにやる仕事があります。

それは、検察官や弁護人から事前に送られてくる冒頭陳述書、証拠の要旨、論告、弁論の翻訳です。

これらは先ほども書いたとおり同時通訳で行うので、その場でゆっくり通訳をしている余裕はないのです。よくテレビで見るような同時通訳ではありません。

なので、これらを事前に翻訳して裁判に臨むのですが、これに対しては無報酬です。

あとは、やはり昔からいる通訳人のほうが安定して安心感があるので、どうしても同じ人に頼みがちになってしまいます。すると、特定の人に負担がかかり、新人は育たなくなります。

なので、よく上級庁から「新人さんも使って!(要約)」といったようなお達しが来ていました。

私は割と新しい人を発掘するのが好きなので、認めているような事件では、初めての人や、数回しか法廷通訳やったことない人を選んだりしていました。

ちなみに、通訳事件は録音されています。これは、通訳の正確性の担保のためで、通訳事件が控訴になると、録音したものをCDに焼いて控訴審に送らなければなりません。

通訳人は職員ではないので給与等は支給されませんが,起訴状の翻訳や法廷等で通訳を行った場合には,翻訳料、通訳料と旅費・日当が支給されることになっています。

困ったこと

少数言語の通訳人を探すのはとても大変です。そもそも名簿にその言語を通訳できる人が少なくて、近くに一人いても、その人がダメだと、遠くから来てもらわないといけなくなります。また翻訳はするけど通訳はしない、という人もたまにいます。

検察庁も、逮捕された人が送検されてくる前日に通訳人に打診して翌日来てもらうことが多いので、なかなか見つからないということもあるようです。

最近は遠隔通訳が始まっているので、通訳人も遠くに足を運ばなくてよくなっていますが、全件やっているのかな。それはちょっとわかりません。

裁判所も遠隔通訳を始めています。遠隔地の通訳の人にわざわざ来てもらうのは大変だから広まるといいですね。

いや、ほんとに、遠くから来てもらうのに、新幹線で来たのかとか、新幹線じゃないとだめなのか、在来線じゃないとだめなのか、自由席か指定席か…会計課が聞いてくるんですよ。

遠隔地から来てもらうのに在来線で来いとか、あほか!

それを聞くこっちの身にもなってくれ。気まずいったらない。

あとは、通訳の内容が本当に正しいのか、聞いているこっちが心配になるような通訳をしている通訳人(たまに日本語が混ざっている)とか、長く通訳人をやっているせいでワガママになっている人や、そもそも研修にも来ない通訳人など、正直言って、いるにはいます。少数であることは分かっていますが。

なり手が減っている。

直前に愚痴を書いたけれども、そりゃこういう待遇だと人も減るよ…と個人的に思います。

検察庁には直前に呼ばれ、取り調べで通訳してから裁判所での勾留質問まではずっと待機。しかも勾留質問が何時になるかわからないから何時間待てばいいかわからない。

冒頭陳述書、証拠の要旨、論告、弁論の翻訳は無報酬。

裁判員裁判なんて、立会ってる書記官も結構疲れるのに、ずっと喋ってる通訳人の疲労はいかほどか。

法廷通訳人って通訳内容自体で裁判の中身だって変わるし、ボランティアじゃないし、通訳人不在では開廷できないんだから、そういう養成機関を作ったり、研修をもっとしっかりしてほしいですね。

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