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裁判所速記官のこと

裁判所速記官とは、訴訟の当事者や証人の供述を逐語で記録する人のことです。よく、書記官がやっている仕事だと思われがちですが、実は裁判所速記官の仕事です。

 

typewriter
目次

裁判所速記官とは 

裁判所速記官は,法廷に立ち会い,訴訟当事者や証人などが裁判官の前で供述するのを速記する事務などを行います(裁判所法第60条の2)。

裁判所速記官は,証言等の一つ一つの言葉を逐語的に記録する必要がある場合に裁判所書記官と一緒に法廷に立ち会って,速記録を作ります。

一般に,速記の方法にはいろいろあり,手書きの速記を思い浮かべる人が多いと思いますが,裁判所速記官は,速記タイプライターを使用して証人の供述などを速記符号として記録し,法廷が終わった後で,速記符号を反訳して速記録を作成するという方法をとっています。

裁判所HP https://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/sokkikan/index.html

「速記タイプライターを使用して」とありますが、速記官いわく、「裁判所支給の物は使い勝手が悪くて自腹で機器を買ってずっと使っている」と言っていました。自腹で50万円くらいしたとか…(゜Д゜)

裁判所速記官は、ステンチュラと呼ばれる機器を使い、決まった略号や事前に準備した略号で発言を記録しています。

例えば、「裁判所」というのも、確かアルファベット二文字くらいで表記していると教えてもらったことがあります。なので、いちいち「さいばんしょ」と打たなくてもいいのです。だから喋ったことをその場で記録することができるんです。

そして、打ち込んだ記号を機器で読み込むと(これも自腹で買ったとかなんとか…)速記録の元ができあがります。

速記官は、事前に裁判の記録を読んで、証言に出てきそうな単語を事前に略号として準備しておきます。そのほか、書記官からも、この単語がよく出そうというのを速記官に伝えておくと、速記官は速記作業がしやすいそうです。

速記官は、一人がずっと法廷に入りっぱなしではなく、時間で交代するので、みんなで手分けして証言記録を作成します。事前に急ぐと言っておいたり、誤字脱字を点検する前の状態でもいいから渡してもらえないか、と頼んでおくと、早ければ翌日くらいには速記録が上がってきます。この段階では誤字がある状態ですが、読めるものが上がってきます。内容を確認するには十分です。速記官の頑張りの賜物です。

私も、速記官にはとても助けられました。証人を何人も呼ばないといけない事件や、裁判員裁の時などは、毎回頼んでいました。仕事をお願いすることで結果的に自分の仕事が早く終わるし、速記官も仕事の実績ができるので、ウィンウィン。しょっちゅう速記のお願いをしていたので速記官とも仲良くなっりました。

ですが、この裁判所速記官、平成10年から新規養成をやめており、今は減る一方。自然消滅を待つばかり…絶滅危惧種・・・ヤメテ・・・タスケテ・・・

速記官にお願いできなかったときは?

証人尋問の速記をお願いできなかったときは、委託している民間業者に反訳(文字起こし)をお願いすることになります。が、これが結構手間なんです。

法廷で録音した音声をCDに焼いて、尋問で示した書類のコピーを添付したり、何分から誰が喋り出しました、専門用語や固有名詞の表記はこうです、といったことをメモしたり、準備にそこそこ時間がかかるんです。そのメモをCDとともに発送して、反訳したものが帰ってくる、という流れになります。最短でも反訳書が戻ってくるまで5日程度かかります。

一方、速記官に頼むと、その作業が全くないので、速記録が完成するのを待つ間にほかの仕事ができます。

速記と業者の反訳の差は?

速記官はその場にいるので、口元を見ながら何と言ったのか把握したり、聞き取れなかったらその場で速記官本人が聞き返すこともできます。

ですが、録音反訳だと、録音のボリュームが小さかったり、証人がごにょごにょ喋ったりすると、法廷にいる人は聞き取れても、業者が聞き取れるとは限らないのです。なので、聞き取れなかった、といったようなメモがついて戻ってきたりします。

でも、大体の場合は、事件内容を把握している書記官が、これはこう言っていたなと覚えていたり、話の流れから聞き取れたりするのであまり問題ないのですが、やはり速記官のほうがいいです。その場で聞き直してくれるからです。

正確だし、表現方法をどうするかその場で相談できるからです。何より速い。

音声認識は?

裁判所には、音声認識システムというものがあります。発言者の発言をその場で文字化してくれるシステムです。裁判員裁判の時は、これを使わないといけないことになっています。

ですが、認識結果の精度が悪すぎる。

裁判員裁判のときは、音声認識結果を検察官と弁護人にディスクに焼いて渡しています。確認したい発言を検索するために使っているらしいですが、これって使い物になってるんだろうか?と疑問。開廷中に書記官は認識結果を見ていますが、かなり不正確です。事前に単語登録しておけば、固有名詞は何とかなりますが、単語登録もあまり役に立っていません。

最近、機器の更新があって音声認識もかなりマシになりました。でもスマホの音声認識のほうが性能良いんじゃなかろうか。

まとめ

最終的にはいなくなってしまう速記官。文字を起こすというだけなら民間委託業者でもいいですが、立会うまでにやる準備とか完成までの速さとか正確性とか、どうしても速記官にかなわないところはあると思います。

いろんな弁護士会が裁判所速記官の養成再開を求める声明を出しています。ネットで調べると出てきます。

私も、速記官の採用・養成を再開してほしいと思います。

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