前回、裁判所の有給休暇事情についてお話しましたが、今回は、当直業務についてお話します。
裁判所職員の宿命。当直。
前回「有休取りやすいよ!休みやすいよ!」と書いておいてなんですが、裁判所には当直があります。
当直は、日直と宿直があります。これをまとめて「当直」と呼んでいます。
日直は、裁判所が閉庁している休日の昼間に仕事をします。時間は8:30~17:00(昼休み12:15~13:00)。
宿直は平日休日関係なく夜に仕事をします。時間は17:00~8:30です。
この日直と宿直を、まとめて「当直」と呼んでいます。
日当は7400円。昼も夜も一緒。どんなに忙しくても7400円。
過去の給与明細見ると、昔は7200円でしたが、人事院勧告で200円賃上げになってました。
仕事は、当直室で行います。裁判官も別の当直室で仕事をしますが、人によっては自分の執務室に行ってしまう人もいます。
あれ迷惑でーす。
日直
日直は先ほど書いた通り、勤務時間は8:30~17:00です。17:00過ぎれば、ちゃんと残業代が出ます。
忙しさはその日によって違うので、完全に運です。どんなに忙しくてもヒマでも7400円。
なお、事務官と書記官の当直手当は同額です。
正直、業務内容としては書記官のほうが負担が大きいのですが、同額です。家庭裁判所調査官は事務官枠での割り当てになります。
仕事内容
主な仕事は、検察庁からの勾留請求の処理と、警察からの令状請求の処理です。
出勤したら、まずは宿直員からの引継ぎ。
宿直のない庁では、前日の日直員が書いた日誌で引継ぎ事項を確認します。
午前中は国選弁護人の選任という仕事があるので、それをしながら、警察からの令状請求に対応します。
お昼近くになると、検察庁から勾留請求が来るので、徐々に忙しくなっていきます。
それと同時に、郵便が山のように来るので、事務官は郵便にかかりきりになります。
庁の大きさによって違いますが、本庁はヤバイ量の郵便が来ます。午後が郵便の処理で溶けていきます。
私が所属していた庁では、郵便をそれぞれの部署の名前が書かれたボックスに入れるという作業がありました。
中身は開封しませんが、封筒一つ一つに受付日付印をぺったんぺったん押して、それをボックスにポイポイ。
これ、ほーーーんと疲れるんですよ。
「〇〇係あてはこの部署のボックスに入れてください」
なんて指示もあるので、「これはこの部署で良いのかな。〇〇係って、このボックスでいいのかな??」
と、いちいちマニュアルで確認する始末。
事務官には、このほかに、決められた時間に庁内の見回るという仕事もあります。
人気のない庁内って怖いんですよ~。
誰かいたらダメなんですが、誰もいないくても怖い。
私はいつも「怖いな~」なんて思いながら見回りしてました。
一方、書記官は、勾留請求が来たら、中身をチェックして、勾留状の案を作って、裁判官に持って行って、勾留質問に立会って、終わったら後処理…といったような仕事をしています。
勾留請求が多いと仕事も増えるので書記官も忙しくなります。
つまり、書記官も事務官もとっても忙しい。
しかも日直は、ふだん刑事の仕事をしていない人も当たるので、システムの使い方や事件の処理の仕方が分からないという人もいます。そういう人は気持ち的にも苦労しますね。
あれ?お昼休みは?
先ほど、勾留請求が来るのがお昼近くと言いましたが、そうするとお昼ご飯はどうしてるの?と思いますよね。
昼休みは平日と変わらず12:15~13:00ですが、平日のようにチャイムが鳴らないので、なんとなくお昼休みに入る感じです。
その間も勾留請求や令状請求が来るので、人によっては、お昼ご飯を片手に仕事をしています。
むしろ、仕事しながらお昼が食べられるように、おにぎりだったりサンドイッチを持ってきている人もいます。
ちゃんと昼休み取ってない感じですね。
これってダメなんじゃないの?
と私は思うので、お昼ご飯片手に仕事、というやり方はせず、テーブルの上でお昼を食べています。
もちろん何か請求が来れば窓口に出ます。
そんな感じなので、とてもじゃないけど外には食べに行けない雰囲ですね。
そういうところ、裁判所は曖昧なんですよねー。
一方、レアな日もある。
休み時間も曖昧、仕事に追われる休日!!な日もある一方で、
一回だけ、勾留請求が1件もない!という日に当たったことがあります。
そこは本庁ではなく支部だったのですが、郵便も少なく、ひたすら時間をつぶしていました。
仮にも勤務中なので遊ぶわけにもいかず、ひたすらヒマしていました。
そんな日は基本的にないのですが、忙しさとは違う意味で大変でした。
ちなみにですが、
日直のために出勤しても代休はないので、翌日普通に出勤するか、有給を取って休むかになります。
働き方改革ゥ~…
宿直
宿直は17:00~翌朝8:30までです。こちらも 7400円 。宿直は現在、男性のみ割り当てがあります。
業務内容は庁によりますが、日直担当が終業までに処理できなかった勾留請求の処理や、夜間に警察から来る令状の処理です。
庁によって取り扱いが違うので、宿直員が勾留請求処理をしない庁もあります。
夜に令状なんて来るの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、来るんですよ。
1件処理が終わったら立て続けに請求が来て…なんてこともあり、一睡もできなかった!なんてこともあります。
なので、宿直明けの職員がいると、
「昨日寝れた?」
「寝れた!」
「良かったね!」
なんて会話が普通に交わされます。
一方で「3時間しか寝てない!」
とか、
「寝れなかった!」
なんてこともあります。
決して寝てない自慢ではありません。
みんな寝たい。
ちなみに、日直と同様に代休はないので、翌日寝不足で仕事をするか、有給を取って休むかになります。
でも、宿直の翌日に、普通~に裁判期日入っていたりします。
なので、寝不足で仕事をすることになります。
ですが、人によっては、ほかの書記官と相談して、仕事を代わってもらって有給を取る、というやり方をしている人もいました。
ですが、これも働き方としてどうなのか?という話は上がっています。
宿直の事務官の仕事
でも、令状の処理も結局は書記官がやるんじゃないの?
事務官ってなにするの?
と思うかもしれません。
宿直は日直と比べて人数が少ないので、事務官は令状のダブルチェック要員になります。
令状請求が来れば一緒に起きて、令状が出たら警察官に交付して、という作業があります。
昔、「夜に令状請求が来たときは、事務官もちゃんと起きなさい」
というお達しがありましたね…。
当直ってどう決まるの?
庁によって、日直しかないところ、日直も宿直もないところがあります。それは庁の規模によります。
宿直が月に1回まわってくる庁もあります。
「まただよ~!(つд⊂)エーン」と嘆く男性職員。
現在は男性のみの宿直ですが、裁判所職員の女性割合も増えて来ているので、いずれは女性にも宿直が回ってくるのではないかと思っています。
ちなみに裁判官は、男女関係なく宿直があります。
当直の割り当ては、機械的に行われています。
どういう順番かは総務課が割り当てをしているので分かりませんが、この人の次はこの人、というように順番があるようです。
機械的に割り当てられるので、すでに予定があるところに当直業務が当たったりします。
本当に仕組んでるんじゃないかと思うくらい、予定があるとこにピンポイントでブチ当ててきます。なぜ。
そういうときは、ほかの人と交代してもらいます。
もちろん当直に当たってる人同士で交代するので、「〇日と〇日交代してくれませんか~」とお願いするのです。
知り合いと交代してもらうのが気楽ですが、知り合いが当直に当たってるとも限りません。
そういうときは、私は顔を合わせた事のない人に対してもガンガン連絡してました。
なので知り合い少なくても大丈夫です。
皆さん臆せず交代しましょう!
なお、先ほど書いたように女性は宿直はできないので、女性が日直と宿直を交代することはできません。
宿直も、月に2回してはいけない等のルールがあったような気がするので、そういう交代の仕方はできなかったように思います。
ただ、書記官が事務官の日直をもらう、というのはできるみたいです。
交代ではなく、貰う。
日直で小金を稼いでいる職員もいました。
現在、年末年始とゴールデンウィークは公募制になっています。
(昔は、新しく異動してきた人などが優先的に当たるという意味不明な慣習がありました。)
年末年始とゴールデンウィークの中から、やりたい日にちを選んで応募します。
同日に応募が二人以上になると抽選になり、当選すれば、普段の当直を免除するという特典があります。
応募する人なんているのかなぁと思っていましたが、意外と応募が多いんです。
「年末年始やゴールデンウイークなんてどこも行かない」という人も多く、大型連休に当直でもやっておいて、普段の休日が休みの方が良いなあ、と思う人が多いようです。
特に年始などは勾留請求が少ないので、応募する旨味があるようです。
当直はめんどくさい
当直があるということは採用前から知っていましたが、こんなに面倒くさいとは思いませんでした。
休日が潰れるって結構つらいです。書記官になってからは特に。
最近はデジタル化の波を受けて、令状請求もデジタル化しようという話が出てきています。
資料のコピーと警察官の移動時間がすごく無駄だと思うから、それは良いと思います。
が、宿直は無くならんだろうなぁと思います。結局処理する人が必要ですからね。。。
独立簡裁とか、小さな庁は当直がないところがあるので、そういうところに行きたいなぁと思う毎日です。
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