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書記官は手続法のスペシャリスト

なんか難しいこと言ってる…と思われるかもしれませんが、そんなに難しくありません。

私たち裁判所書記官が参照するのは、主に民事訴訟法や刑事訴訟法という、いわゆる「手続法」ですよ、というお話です。

目次

手続法って?

法律には、実体法と手続法があります。

実体法とは、権利・義務などの法律関係の内容を定める法律のことです。

民法、刑法、商法など。

一方で、

手続法とは、この権利・義務関係や法律関係の実質的な内容を実現するためにとるべき手続きを定める法律のことです。

民事訴訟法、刑事訴訟法、家事事件手続法など。

んん???と思うかもしれません。

お金を貸したんだから、返してもらう権利がある!(実体法・民法)

けど、返してくれない!どうしたらいいですか!(手続法・民訴法)

とても雑だけどこんな感じ。

事務官になって気づいたこと

裁判所事務官に採用されてから気づいたのは、

訴訟法をめちゃめちゃ使うなぁ、ということと、

実体法をあまり使わないなぁ、ということです。

もちろん全然使わないわけではありません。

裁判所事務官試験で、憲法、民法、刑法は勉強していましたが、

訴訟法なんて勉強したことがなかったので、イチからのスタートでした。

「あれだけ勉強したのに使うのは訴訟法なの!?」と思ったものです。

裁判所書記官になるための研修所入所試験でも、憲法、民法、刑法、(と訴訟法)が出題されます。

私は短期間で書記官になるという研修に受かったので、研修では、ひたすら訴訟法を勉強していました。

そして書記官になった今でも、六法で開くのは訴訟法ばかりです。

具体例

訴訟法は、自分の権利を守るために、どのような手続きを踏めばいいかを定めているものです。

たとえば、

貸したお金を返してほしい!

と思った時に、

自発的に返してくれなければ、強制的に返してもらう必要があります。

お金を強制的に返してもらうためには、勝訴判決をもらって、強制執行をしないといけません。

その勝訴判決をもらうために必要なのが民事訴訟法、略して民訴法なのです。

(ちなみに強制執行は民事執行法です。)

では、その判決をもらうためにどうすればいいかというと、

訴状を提出しないといけません(民訴法133条)。

でも、ただ出せばいいだけではなく、

訴状に何を書かなくてはいけないかも決められています(133条2項)。

(収入印紙と郵便切手の添付も必要ですが、これは民事訴訟費用等に関する法律に記載があります。)

訴状が提出されても、相手に訴状が届かなければ意味がありません。

そこで書記官は、

民訴法138条で、「訴状は、被告に送達(そうたつ)しなければならない。」という規定に基づいて、被告に訴状を送達します(簡単にいうと特別な郵便で被告に訴状を送るということです)。

そのあと行う口頭弁論の期日指定や、

原告や被告が行う準備書面の提出証拠の提出などもすべて民訴法に決められています。

書記官だけでなく、原告や被告が目的を達成するために何をすれば良いかを定めているのが訴訟法なのです。に、民事訴訟規則も参照します。)

この民訴法を駆使して、原告(もしくは被告)は自分の権利を守るのです。

法律の勉強って、実体法である民法や刑法から入って、そこから訴訟法や他の法律を勉強していくと思いますが、

訴訟法って、訴訟を運営するだけでなく、自分の権利を守る上でも、とても大事な法律なんですよ。

書記官は手続法のスペシャリスト

書記官は、訴訟をスムーズに運営し、裁判官が判決を出すことに集中してもらうために訴訟法を知っていなければいけません。

いわば、書記官は手続法の専門家というわけです。

裁判官も訴訟法について知らないところもあるので、それをサポートできるように日々勉強しています。

法律を事例に当てはめて物事を解決する!というのは実体法(民法や刑法)ですが、

書記官が知っていなければいけないのは、民訴法や刑訴法などの手続法と呼ばれるものです。

訴訟というのは、実体法と手続法の両輪で動いているので、どちらが欠けてもいけないものなんです。

なので、実体法をバリバリ使って仕事をしたい!という人は、裁判所事務官や書記官を目指すと、

「ちょっと違う…」

ということになるかもしれません。

今まで、書記官の仕事は「コートマネージメントだよ」とか、「調書を主に作っているんだよ」とか言ってきましたが、

書記官は、このように訴訟運営上に欠かせない役割を担っているのです☆

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