今更ですが、2018年に公開された劇場版名探偵コナン「ゼロの執行人」に突っ込んでみようと思います。コナン君が人間やめてるとか、安室さんがフロントガラスを素手で割るゴリラだとか、そういうツッコミではなく、裁判所書記官から見たツッコミどころです。
なかなか弁護士が付かない
妃弁護士が「有名人だからみんな弁護人をやりたがらない。」と言っていましたが、いやいや、やりたい人多いと思うぞ?
毛利小五郎が逮捕されたなんて報道されるだろうし、そしたら弁護したいって人いると思うし、人権派弁護士と言われるような弁護士もいます。たぶん難しい事件なので、大弁護団できるのでは?
ケーベンってなんぞや?
橘弁護士から発せられた「ケーベン」という単語 。「事務所を持たず,携帯電話のみで仕事をする弁護士」だそうです。初めて聞いたわ。
「ケーベン」って言われて真っ先に思い浮かんだのは「刑事弁護センター」略して「刑弁(けいべん)センター(と裁判所は呼んでます。)」もしくは刑事専門にやってる弁護士のこと。
裁判所的には事務所がないと郵便物とかFAXが送れないのだけど…(´・ω・`)自宅を事務所にしてるのかしら…でもそれだとケー弁言わないか…。
証拠が少なすぎる
日下部検事が、否認する毛利のおっちゃんに対し、「あなたを犯人とする証拠がこんなにあります」と、黒い表紙のファイルを掲げます。
それっぽっちしかないんかーーい!!!(゜Д゜)
爆発だよ爆発!絶対、
でかいオリコン(折りたたみコンテナ)
と、
分厚いドッチファイル
の山だよ!しかも各国の主要人物が集まるサミット会場ですよ!
そんな事件担当したことない(そもそもない)からどのくらいの記録になるかわからないけど、死傷者もたくさんいるし,写真撮影報告書とか実況見分調書とかものすごいことになりそうだし、被疑者とか関係者の調書だけでもかなり多くなるだろうし。
おにぎり一個盗みましたっていう事件でも、盗まれたものの写真とかお店での実況見分の様子とか供述調書とかでそこそこの記録量ですよ。裁判所に提出される段階で選別されて薄くなるくらいで。
公判前整理手続
読み方は「こうはんぜんせいりてつづき」です。「こうはんまえ」ではありません。裁判所では、「こうはんぜん」と省略しています。
でも、報道でも「こうはんまえ」って言ってるんですよね。でも弁護士が間違えたらアカンよ橘先生。
公判前は基本法廷でやるので、裁判官室で立って行うというのはまず無いし、そもそも滅多なことでは裁判官室に弁護人や検察官は入れません。
「まもなく起訴にするって連絡があった」→裁判所から「公判前整理手続をすると連絡」。
うん?
公判前って起訴した後に行われるものです。
起訴前だとしたら、担当裁判官が事件の内容を把握するのは,予断排除の原則(裁判官は、公判まで事件について白紙の状態でいること)的にもやばいですね。
それにまず、起訴してそんなに早く公判前整理手続開けない…。公判前って公判前整理手続に付すかどうかを弁護人と検察官の双方の意見を聞くんですよ。それで裁判官が決定を出して、日程を決めるんです。なので、起訴されてすぐにはできません。
否認してるし事件も複雑だろうからおそらく公判前自体ながーくなると思います。
証拠等関係カード
皆さん聞いたことあるでしょうか。証拠等関係カード。しょうことうかんけいかーど、と読みます。
検察官や弁護士が請求した証拠を一覧にしたものです。証拠等関係カードは書記官が作るものなので、とても身近なものです。
なので、ちょっと言いたい。
「前1」というのは第1回公判前整理手続で手続きが行われたと読みます。なので「前2」は、第2回公判前整理手続で手続きが行われたことになります。すると、映画の中では、公判前整理手続が2回行われたことがわかります。いつのまに2回もやったんや…。
で、一番気になるのは、「結果」欄の「期日」欄に「1」という数字があることです。
これ、第1回公判期日で手続きが行われたと読みますので、もう裁判が開かれていることになっています。
しかし、橘先生が「公判期日も決まりました」と言っていたことから、公判期日(裁判)はまだ行われていないはずです。
もうなにがなんだかわからない。
しかも、取り調べ順序書いてあるのに公判期日の数字落ちてるところあるよ。やばい。
でも、証拠等関係カードなんでマイナーなものまで出してくれて、頑張ったんだなぁと感心しました。
とかなんとか言っていたら、岩井統括検事の「毛利小五郎は不起訴にして」。
え?
公判前やったんじゃん?
起訴したんじゃないの?
え?
さいごに
いろいろ書いてきましたが、細かく詰めすぎると本題からそれちゃいますからね。私自身は映画はとても楽しく見ていました。相変わらずの派手な演出とか安室さんのゴリラっぷりとか人間やめちゃってるコナン君とか(´∀`*)ウフフ
名探偵コナンの映画で、少しとはいえ裁判所が取り上げられることなんてないですから新鮮でした。
警察官の人や公安警察の人は、日々こんなツッコミを入れながら見ているのかな。警察ネタとかは多すぎてもうツッコミもしないのかな。
コメント