まず、私が裁判所事務官試験を受けたのが10年近く前のことなので、今とは異なる部分があると思われます。それを前提にお読みください。
どうして裁判所事務官を受験したの?
私が学生だった頃、法律番組をよく見ており、そこで「こういう理由でこういう結論になります」という理路整然と結論を導いていく法律を見て、法律って面白いなと思いました。
実際傍聴に行って、そこで裁判官という仕事に出会いました。
そして民事、刑事事件の傍聴をしていく中で、裁判所で働く裁判官になりたいと思いました。
そこで実際に法学部法律学科に行ったのですが、民法総論での専門用語のあまりの意味の分からなさに
「あ、これは無理だ( ;∀;)」と早々にあきらめたわけです。諦めが早い。
じゃあ裁判官は無理でも、裁判所で働くことはできないかと調べたところ、裁判所事務官という仕事を知りました。
各裁判所行われている、裁判所事務官受験希望者向けの裁判所説明会に参加しました。
そこで「裁判所は人を大切にしている」
「行ったことのない部署に行っても周りの人が教えてくれるから大丈夫」
という話を聞いて、裁判所事務官の受験を決めました。
事務官試験の種類
当時は、裁判所事務官Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種と呼ばれており、私は裁判所事務官Ⅱ種を受験しました。
通ったのは、伊藤塾です。塾長・伊藤真先生の伊藤塾です。法律学科の方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。
伊藤真先生が出している本を1冊買って読んだら、大学で教わるものとは比べ物にならないくらいわかりやすかったので、伊藤塾を選びました。別に伊藤真先生本人から教わったわけではないですけどね…
今思えば、大学の勉強って実務云々ではなく、学者先生がいろんな説を細かく教えてくれていたんだなとわかりますが、当時は何を言っているのがさっぱりでした。
公務員試験のコース選び
実は、私は裁判所事務官以外あまり興味がなかったので、コースも裁判所事務官受験コースを選びました。
裁判所事務官コースは、その名のとおり裁判所事務官で出される科目しか勉強をしません。
専門試験は憲法・民法が必須、刑法と経済原論が選択です。
なので、ほかの公務員試験の科目はカバーできていませんでした。
つまり併願が効かない。
さらに経済原論ではなく刑法で受験するという徹底ぶり。
全く併願が効かない。
どうやって勉強をしたの?
私は、大学3年の5月ころから予備校通いを始めたのですが、予備校の授業自体は3月頃からすでに始まっていたので、遅れていました。
未履修の授業も、授業のボリュームも多かったので、追いつくのが大変でした。
インターネットで過去の授業を一生懸命見て、授業に何とか追いつきましたが、追いつくことにいっぱいいっぱいになって、なかなか復習ができませんでした。
勉強のしかた
勉強のやり方としては、授業を受けたら問題集を解くように言われていたので、それを守っていました。
とにかく問題を解くことが重要です。
専門科目は、最低でも3周、何度やっても間違える問題は5周くらいやっていました。
でも、何よりも大変だったのは何といっても数的処理です。
判断推理・数的推理・資料解釈どれもできませんでした。私、算数できないんですよ、全然。
まず問題文が何言ってるかわからない( ;∀;)
日本語なのにわからない( ;∀;)
資料見ても何言ってるかわからない( ;∀;)
授業中、問題を解く時間があったのですが、もちろん全然できない。手が動きもしない。
解説聞いても、どうしてそう解くのかがわからない。もちろん問題集なんて解けるはずもない。
数的処理の先生が、
「自分も苦手だったからできない人の気持ちはわかるから、分からなかったら聞きに来て。『こんなのもわからないの?』なんて言わないから」
と言ってくれたので、めっちゃ聞きに行ってました。ほぼ毎回質問してました。
図形とかは、実際に自分で紙で作ってみると良い、とも言っていました。
そこまで数的処理に時間かける必要ある?と思うかもしれませんが、私は真面目に作ってみました。
それと、その先生の言葉で、
「人間は、1日やらないと脳が1週間前の状態に後退する」
という言葉を今でも覚えています。
科学的に本当かどうかは分かりません。
でも、問題を解かなくても、問題を見るだけでもいいから毎日数的処理に触れなさい、ということを言っていました。
私はその言葉を真に受けて、毎日数的処理をやっていました。
時間がなくても眺めるだけでもして、なるべく数的処理に触れるようにしました。
それでも全然できなくて、先生の前で泣きました。慰めてもらいましたよ、ええ。
裁判所事務官試験の数的処理は、一般教養の中でも多くのウェイトを占めていたので、捨てるに捨てられませんでした。
捨てたら落ちる(-“-)
他の科目、特に理系の生物とか化学とかは1問しか出ないから対策が難しかったですね。
これはもう過去問やって、模試を受けて、ということしかできなかったです。
予備校の問題集しかやらず、ほかの問題集に手を出したりはしませんでした。
1問しか出ない科目より、出題数の多い数的系はもちろん、現代文や英語に時間を割きました。
論文試験
教養科目
教養科目の論文試験は、当時、裁判所事務官試験だと出される時事問題が限られると言われていました。
行政は、どんな政策を作りたいか、どんな街づくりをしたいか、など、出しやすい問題が多いけれど、
裁判所事務官は、街づくりなどはしないから、そういう問題は出しにくいと言われていました。
現在はどうかわかりません。
なので、教養科目の論文を担当していた先生に個別に問題を出してもらって、答案を添削してもらっていました。
自発的にどんどん問題を解いていかないといけませんね。
論文試験
憲法の論文は、憲法をガッチガチに勉強していれば答えられます。
でも、第一志望が国家Ⅱ種(今の一般職[大卒区分])だと憲法をやっていない人もいるので、
「はい書いてください」と言われても難しいですね。
憲法の論文試験は、教養科目ほど書く練習はせずに、択一試験の勉強に時間を当てました。
公務員試験の論述は、条文を覚えていないと書けません。
私は、専門試験は、憲法・民法・刑法しか勉強していなかったので、憲法に割ける勉強時間は多かったです。
私にとって、憲法の論文試験は、覚えたことを吐き出すという試験だったなぁと思います。
模試
伊藤塾では模試はやっていないので、LECで模試を受けました。
あまり回数は受けず、2回受けただけです。
今までの勉強がどれくらい通用するかという腕試しという目的もありましたが、
あくまで時間配分や雰囲気に慣れるために受けました。
ここでも数的処理の点数はぜんぜん良くなかったです。
零点ではなかったと思いますが、半分も取れていなかったと思います。
受験本番
裁判所事務官試験は、ほかの試験よりも日程が後のほうだったので、ほかの試験を結構受けました。
国家Ⅰ種を見るとその年の試験の傾向がわかると言われていましたが、絶ッッ対受からないし時間の無駄だと思ったので、国家Ⅰ種は受けませんでした。
友達に問題のコピーをもらいましたけどね☆
その他の試験は、毎週末どこかを受験する勢いでほぼ受けました。
来る裁判所事務官試験に慣れるために受けていましたが、先ほども書いた通り、私の勉強科目が、まったく潰しの効かない科目だったので、まあ全部落ちましたよね。
国立大学法人・国税専門官・労働基準監督官・防衛省・衆議院事務局職員・参議院事務局職員・国家Ⅱ種・都庁・特別区
これらぜーんぶ受けました。ぜーんぶ落ちました。
受験での失敗
本命の裁判所事務官試験。
私、大失敗しまして。
教養試験の終了時間を間違えたんですよね。
10分くらい。
あと10分あると思ってたら唐突な終了の鐘。
え?あと6問マークシート埋めてないよ?え?
と、茫然としたまま教養試験終了。
チーーーーーー(゜ω゜)ーーーーーーン
ですが、その後の専門試験、論文試験では、そのことは全く引きずらずに試験受けてました。不思議。
帰り道で初めて、6問落としたことにめっちゃヘコみました。
一次試験合格
そんな失敗をした一次試験ですが、なんと無事合格しました。
教養試験科目は、正直足切りギリギリでした。
刑法で、2択まで絞って選んだ選択肢がことごとく正解し、
論文試験の専門科目、教養科目、ともに対策をしていたところが出たので、何とか合格ラインクリアしました。
いや~なにがあるか分かりませんね。
苦手だった数的処理は半分取れました。問題集すら解けなかった頃と比べれば見事な成長です。
ちょっと長くなってきたので、分割します。次回は、面接から採用までのお話をします。
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