内定が出た方、おめでとうございます。
そのまま裁判所にいらっしゃる方、いらっしゃいませ☆
初めて仕事をする人は心配事もたくさんあると思います。
この記事で、少しでもイメージが湧いてくれると嬉しいです。
初日と二日目は研修
事務官として採用されると、最初の二日はフレッシュセミナーという、座学の研修があります。
そこで、
裁判所ってどんなところか
各部署が何をしているか
休暇制度の説明
といった、説明があります。
その研修で、裁判所の組織の説明や制度説明が載っている本がもらえます。
正直、研修の内容はさっぱり覚えていないのですが、一つだけ覚えていることがあります。
今でも覚えているのが、休暇の説明で説明をしてくれる人(管理職の人)が、
1月をいちげつと言ったんです。
もらった本にも、1月、と書いてあったんですね。
私は普通にいちがつと読んだので、話の意味が分かりませんでした。
休暇の話なのに「いちがつ」って何???
そういう風に、しれっと聞き慣れない単語を言われ、なんのこっちゃ?と思った記憶があります。
意味不明で、何度も聞いた結果、いっかげつという意味でした。
分かるように話してー!
わたしたち!新人!本当のひよこ!!
研修のあとは配属先にご挨拶
研修が終わるのが二日目の夕方くらいなので、そこから配属された部署に移動します。
ここが一番緊張しました。
その日は配属先の部署の職員や、裁判官が居る部署なら裁判官に挨拶をして、その日は帰宅となります。
翌日には、各部署に挨拶をしに行きます。これを挨拶回り(あいさつまわり)とよんでいます。
管理職がみんなを連れて回るので、一年生はぞろぞろついて行って
あいさつしまくりました。
※今年の4月に採用された人は、二日目の夕方に挨拶まわりをしていました。
庁や、挨拶回りをする人数によって違うのかもしれません。
本格的に勤務開始
さて、三日目は本格勤務!
…の朝のこと。
私のときは、「8時半までにここに来てね」と言われたので時間通りに行ったのですが、特に誰かが待っているわけでもなく、登庁簿(とうちょうぼ)というものが置いてあるだけでした。
はて?
と思いながら、とりあえず他の人のまねをして、自分の名前を登庁簿に書いて、とりあえず配属された部署に行ってみるか~と、自分の部署に向かいました。
結果的には自分の行動は正しかったわけですが、登庁簿の説明なんてあったかしら??
※公官庁は、登庁簿というものに名前を書くことで出勤を確認しています。
今でもあのときの不安は覚えています。
ちゃんと説明してー!!!
気を取り直して。
三日目からいよいよ本格的に仕事が始まります。
と言っても、最初にやることはメールの設定だと思います。
メールの設定をしたり、配属先で使っているシステムの設定だったり、意外とめんどくさいです。
これは新採に限らず、異動してきた職員すべてがやります。
で、あちこちで、
メールが来なーい!とか、設定がうまくいかなーい!
という悲鳴が聞こえるとか聞こえるとか。
というように、出鼻を挫かれる感じです。実際はさほど難しくないんですけどね。説明書もあるし。
もろもろの設定が終了したら、先輩書記官から、事務処理の仕方をひたすら教え込まれると思います。
パンフレットなどにも、
職場における研修(OJT)と裁判所職員総合研修所等における集合研修(OFF JT)を相互に関連させた効果的で多様な研修を行う研修制度が用意されています。
最高裁判所HPより
とあるように、それぞれの部署で先輩書記官が教えてくれます。
主任などの管理職が付きっきりで教えてくれるのではなく、教育担当の先輩がメインで教えてくれることになります。
それはそれはいろんなことを教えてくれます。
教えられすぎて、聞いたそばから忘れます。
話している単語の意味がわからないからです!
メモをしていても、どれがどの仕事だったか分からなくなります。
先輩としては、早く仕事できるようになってほしいと思っていますからね。しょうがないね。
仕事中でも、聞き慣れない単語がぽんぽん飛び交うと思うので、分からないときは聞きましょう。
皆さん、本当に快く教えてくれます。
新採用に限らず、初めて行く部署だと、日本語で喋って!と思うくらい、周りの人が話している内容が意味不明になります。
4月頃に、また研修があります
一生懸命仕事を覚えようとしていた矢先、5月頃(現在は4月)にみんなで研修所に集まって1週間泊まり込みで研修があるんです。
先ほどの引用での「OFF JT」というやつです。
ここでは、新採用の同期が一堂に集まって研修をするので、他の県の同期とも仲良くなることができます。
と言っても高裁管内での集まりなので、ほかの高裁管内で採用された人は来ません。
研修内容は、フレッシュセミナーの拡大版みたいな感じです。
法律的な研修をするわけではありません。
研修も仕事のうちなので、17時までは研修所から出られません。
そして、17時を過ぎると、毎回飲み会が開催されます。
開催といっても、同期でただ飲みに行くだけですが、これで交流を図るんですね。
飲みにケーションってやつです。
そんな生活を1週間(正確には5日間)終えて、またそれぞれの職場に戻っていきます。
5日間仕事から離れて、同期と研修を受けて飲み会をして、リフレッシュ!
そんな研修にもデメリットがあるんです。
それは、1週間職場から離れることによって、
1か月で覚えた仕事を忘れるということです!
「そんな大げさな~。」
と思うかもしれませんが、本当に忘れます。
1カ月間、毎日やっていた仕事なのに、何をどうすればよかったか、本当に思い出せませんでした。
自分だけなのかと思って同期に聞いてみたら、みんなそんな感じでした。
最近はコロナの関係もあって、地裁・家裁単位でリモート研修をしていました。
だから他県の人と友達になったり、毎日飲み会だー!なんてこともありません。
実際、採用されて4年目になる事務官が、「私、研修所行ったことないんですよ」と言っていました。
いつ頃仕事に慣れた?
日々ばたばたと過ごしていましたが、一通りの仕事の流れを把握できたのが8月くらいでした。
基本的な仕事や、毎日行う仕事で、自分のペースをつかめるようになったのも8月くらい。
他の同期も、だいたい8月くらいだったと言っていました。
それまでは毎日が必死でした。
でも、慣れてくると少しずつ自分のペースで仕事ができるようになるので、少し楽になります。
慣れてくると、少しずつ仕事も楽しくなってくると思います。
そしてこのころは夏季休暇が取れる時期になります。夏季休暇は7月~9月の間で取る夏休みのことです。
この頃になると、夏休みを取っても仕事のやり方を忘れるということはありませんでした。
1年目の終わりにも研修があります。
新採用の1年目が終わるころに、また研修があります。
フォローアップセミナーという研修です。
これは研修所には行かず、各県の本庁に集まって行われます。
そこでは事前にお題が出されて、一年間やってきた仕事のことについて発表をしました。
失敗をした話では、みなさんいろいろな失敗をしていて、
自分だけじゃないんだなぁ~と安心しました。
その失敗した話の中で印象に残っているのが、FAX誤送信をした人の話でした。
「どうすればよかったか」という対策のところで、
「FAXのコンセントを抜けばよかった」と言っていたのは今でも覚えています。
違う、そうじゃない。
となりの芝生
このフォローアップセミナー研修の中で、「となりの芝生」と言って、「違う部署の仕事も見てみよう」という趣旨の研修もあります。
民事部で働いている人は、刑事部or家事部。
刑事部で働いている人は、民事部or家事部。
家事部で働いている人は、民事部or刑事部。
といったように、自分が行っている仕事とは違う仕事を体験できます。
どこに行きたいか希望を出せますが、いっぱいになった場合は希望は通りません。
自分がやっている仕事とは全然違ったり、先輩事務官(と言っても自分と1年くらいしか違わない)がいろいろ教えてくれました。
1年くらいしか違わないのに、てきぱきしてて、頼りになってすごいな~と思ったものです。
やっている仕事、使っているシステム、事件記録など、すべてが違っていたので面白かったです。
研修と言っても、体験のようなものなので、気楽にGO。
事務官法律研修
一般職試験で採用された裁判所事務官には、「じむかんほうりつけんしゅう」という、研修があります。
これは、憲法、民法、憲法、訴訟法を通信で勉強する研修のことです。
裁判所書記官養成課程(書記官になるための長期間の研修)に入るための勉強を、裁判所がサポートしてくれる研修ですね。
書記官になるための試験についてはコチラでもお話しています。
昔は、法学部以外を卒業した事務官のみを対象に行われていた研修ですが、現在は法学部を卒業した事務官も受けられるようになりました。
なお、総合職で合格した人は非対象です。
「通信研修及び面接研修を通じて基礎的な法学教育を行うことにより、資質及び事務処理能力の向上を図る。」
ことを目的としています。
昔と比べて、法律知識の底上げを図っているように見えますね。
私はこの研修を受けたことはありませんが、資料を見ると、
問題が配られる→論文を書いて提出する→添削される(解説も付いてくる)
ようです。
この研修を真面目にやれば、論文を書く力が付きそうですね。
試験で出される論文は、書き方の流れがある程度決まっているので、
書く→フィードバックを受ける→解説を見る→書き直す
を続けていると、自然と書き方が分かってきます。
更に、面接研修もあるみたいです。これは初めて見ました。
試験対策だと仮定すると、法律問題が出されて、それに対して口頭で答える、という実際の面接試験さながらのことをするのかな?
この辺りは正直私も経験がないので詳しいことは書けないのですが、もし経験した方がいらっしゃったら教えてほしいです。
これは私の想像なのですが、法学部の卒業生もこの研修が受けられるようになったのは、司法試験にチャレンジしてきた人が以前より多く採用されるようになって、法学部卒の職員が裁判所書記官養成課程の試験に合格しにくくなってきたからかな、なんて思っています。
OJTで思ったこと(ただの愚痴)
いろんな人にたくさん教えてもらったおかげで仕事ができるようになりました。
でも、
この人の考え方は相容れないな、と思った人もいました。
一年目から何を生意気な、と思うかもしれませんが、思ってしまったものは仕方ない。
その人は、仕事を一生懸命教えてくれたし、仕事のお作法のようなものも教えてくれました。
一方で、休み時間は仕事の話をしない、とメリハリをつけてくれていたのは当時も重々分かっていました。
そもそも”教える”という時点で、自分の仕事を止めて時間を割いてくれているのもわかっています。
怒鳴ったりもされていないし、意地悪をされたとも思っていません。いい人だとわかっています。
が!
思ってしまったものは仕方ない!
そういうときは、同期にぶちぶち愚痴を言ったり、信頼できる先輩にぶちぶち愚痴を言ってみたり…
そういうことを言える人を見つけておくのも、仕事を続ける上で必要かなーと思ったりしました。
最後に
気が早い話でしたが、採用されての一年間をざっくりお伝えしました。
良い人が多いですが、たまにヤバい人もいます。これは事実。
良い人が多いからこそヤバい人が目立つ、とも言う。
でも、基本的には良い人ばかりなので、あまり心配せずに来てほしいなと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして、高卒の職員と大卒の職員の関係はどんな感じでしょうか
やはり同じ一般職でも大卒のほうが出世できますか?
コメントありがとうございます。
私の同期でも高卒の人がいましたが、大卒も高卒も関係なく仲は良いです。
何なら、前職ありの人もいますし、受験の年齢制限ギリギリの人もいます。
出世をするには、やはり書記官になることだ第一だと思いますが、高卒だと研修所入所のための試験は23歳にならないと受験できないので、
そこは大卒と変わらないですね。
余談になりますが、高卒の人と一緒に仕事をしたこともありますが、高卒の人は基本的に優秀だなという印象です。