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簡易裁判所のはなし

前回、簡易裁判所の裁判官についての話をしましたが、そもそも簡易裁判所ってどんなところなの?

というお話をします。

目次

簡裁判事ってどんな事件を扱うの?

裁判所法33条に書いてあります。(身も蓋もない) 

簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。

 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)

 罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第百八十六条、第二百五十二条若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟

 簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。ただし、刑法第百三十条の罪若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三十一条から第三十三条までの罪若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条から第三十二条までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。

 簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。

どゆこと( ゚Д゚)?

民事だと、140万円以下の請求は簡易裁判所が扱います。

お金の請求だけでなく、土地、建物の明け渡しなども140万円以下なら扱います。(計算方法があるんです。)

刑事だと、禁固以上の刑罰は課せられない(つまり懲役は言い渡せない)けど、

裁判所法33条で、簡裁でも3年以下だったら懲役刑を課してもいいですよ、

となっています。

窃盗だと、10年以下の懲役又は50円以下の罰金に処する、なので、本当は懲役刑は課せられないけど、

3年以下の懲役刑なら課してもいいですよ、ということです。

住居侵入、窃盗、傷害、常習賭博及び賭博場開張等図利、横領、遺失物等横領、盗品譲受け等

が、簡易裁判所の管轄になります。

古物営業法とか質屋営業法も簡裁だったんだ…ボソ

住居侵入、窃盗、傷害、遺失物等横領はよく来ますが、他はほとんど見たことありません。

あとは、道路交通法は大量に来ます。

赤切符

道路交通法は大量に来ます、と言いましたが、簡易裁判所では、赤切符を大量に処理する日があります。

赤切符は、比較的重い違反を起こした場合に交付されるものです。

その赤切符を交付されて裁判所に出頭してきた人たちの裁判を、一日かけてしていきます。

裁判と言っても法廷で行うものではなく、略式命令といって、書類審査だけで終わるものです。

一つの会場に、警察、検察、裁判所、罰金納付窓口(検察)がある状態で、赤切符を切られた人が罰金まで収めていくという流れになっています。

一日かかるので大変です。

書類審査で終わる略式命令といっても、有罪であることに変わりはないので前科は付きます。

たまーーに青切符がついてて、「これ何じゃ??」と思っていたら、どうやら青切符の反則金納付を無視し続けて刑事裁判になっていたようです。

ちゃんと納付しようね…

140万円以下でも地裁へ

140万円以下の請求ならなんでも簡易裁判所がやるかというとそうでもないんです。

民事訴訟法18条で、

簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。

というように、簡易裁判所裁判官が「相当」だと思ったら、地裁に移送できるよ

と規定されています。

「相当」って何?と思われるかもしれませんが、私も分かりません。

分かりやすいのは国家賠償請求ですね。

国家賠償請求は簡裁の手に余る、ということで地裁に送っていました。

あとは、事実関係が複雑だとか、難しい法律判断が必要だと思われるとき…でしょうか。

国家賠償なんて、それこそ難しい法律判断が必要なのではないでしょうか。

裁判官の中での「相当」がどういうものなのかわかりませんが、相当だと判断したら、地裁に移送されます。

簡裁の法廷

簡易裁判所といっても裁判所なので、法廷も地裁と同じような法廷です。

さすがに裁判員裁判の法廷のような大きな法廷ではありません。

地裁と併設されている裁判所だと、簡裁に割り当てられた法廷を使っていたり、

曜日によって簡裁が使う日と、地裁が使う日が決まっていたりします。

裁判所によってそこは違います。

簡裁しかない裁判所は独立簡裁と呼ばれています。

少額訴訟はカンタン…??

簡易裁判所が扱う民事事件で、少額訴訟しょうがくそしょうというものがあります。

少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いの請求訴訟で、原則1回で紛争解決を図る裁判です。

原告は第1回の裁判までに証拠をそろえていないといけません。

少額訴訟で使う法廷は、ラウンドテーブルがあり、全員が同じテーブルに座って審理を進める形になります。

裁判所の少額訴訟のページ

以前、パンフレット等で、少額訴訟は原則1回で終わる簡単な裁判です♪

みたいな宣伝があったとかなかったとか。

職員的にはムキー!( `皿´)なポイントです。

少額訴訟といえど、訴訟なので証拠をちゃんと出さないといけないしモメたときは1回じゃ終わらないから!

訴訟であることに変わりないから!!

という職員の声を聴いたような聴かなかったような。

ちょっと訴状出せばササっと終わる♪

わけではないのです。

確かに定型書式があるので訴状は作り易くなっていますけどね…。

1回で終わらないと…

1回で終わらなかったら通常の裁判に移行します。

通常の裁判に移行したとしても、やることは変わりません。

被告から「通常の裁判でやってほしい」と言われた場合も、通常の裁判に移行します。

反論があれば、書面を作って提出したり、証拠を追加で出することになります。

ちなみに、少額訴訟手続の判決に対しては,地方裁判所に控訴できません。

同じ簡易裁判所に異議の申立てをすることになります。

異議を申し立てても、少額訴訟判決をした同じ裁判官が判断をするので、結論が変わるかどうかは………。

異議に対する判断に不服申し立てはできません。

東京簡裁の少額訴訟の説明の6.その他 に、

訴状の記載方法等  訴状の基本的な記載方法は通常訴訟と同じです。東京簡易裁判所の簡裁民事手続案内では,定型用紙の交付や記載方法の案内をしています。

通常訴訟と比較して,手続の難易に差はありません。

東京簡易裁判所の少額訴訟

書いてある!

通常訴訟と比較して,手続の難易に差はありません。

て書いてある!

えらい!

まとめ

ほかにも、

・今年の10月に調停制度発足100周年を迎えた民事調停

・支払督促

・即決和解(訴え提起前の和解)

・140万円以下の民事保全などなど…

実は簡裁もいろいろなお仕事をしています。

少額のお金の貸し借りや敷金返還など、大きな金額にならない場合は簡裁が使われることが多いです。

皆さんにとって身近なのは、意外と簡易裁判所なのかもしれませんね。

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