よく、「裁判所事務官に向いている人」というものがあります。ちょっと調べるだけでもどんだけパーフェクトヒューマンなんですか?という条件が挙がっています。
結論から言うと、「全部できる人」なんていません。でも、どんな要素が求められているのかを知っておくことは、仕事をする上でも、就活をする上でも役に立ちます。

裁判所事務官に向いている人の条件とは
ちょっと調べると、以下のような条件が挙がります。
- 几帳面で注意深く、丁寧、慎重である
- 迅速に事務処理ができ、向上心・知識欲がある
- おもいやりと公平性をもったコミュニケーション能力がある
- 集中力・責任感があり、作業を正確にできる
超人すぎ。でも、それぞれに現場ならではの理由があります。順番に見ていきましょう。
①正確さと丁寧さ|几帳面・注意深い・慎重
裁判所が作成する書類は、その人の身体や財産に直接影響を与えます。正確性は絶対に外せない要素です。
とはいえ、正確性を求めてゆっくりじっくり丁寧にやっていては仕事が終わりません。裁判所には毎日大量の案件が来ます。正確さと迅速さを両立させることが求められるのです。
書記官くま正確性と迅速性は採用後に人事評価の目標として設定するくらい、現場でもずっと課題になっているテーマです。異動先でも目標にするくらい永遠のテーマです(笑)。
ただ、几帳面すぎて「全部完璧にしないと気が済まない!」となると、逆にしんどくなります。大事なのは「ほどよく丁寧に」というバランス感覚です。これは経験を積む中で自然と身についていくもの。最初から完璧である必要はありません。
注意してほしいのは、「私はマイペースにのんびりやります」というスタイルや、同じミスを何度も繰り返すタイプの人は、周囲に負担をかけてしまうことがある、という点です。「慎重さ」は、ゆっくりやることではなく、確認を怠らないことだと思っています。
②学び続ける姿勢|向上心・知識欲
向上心・知識欲というと「すごく勉強ができる人じゃないといけないのか」と思われるかもしれませんが、そういうことではありません。大事なのは「知ろうとする姿勢」です。
裁判所の仕事は、法律に基づいています。最近は法改正も多く、「前はこうだったから」という思い込みで仕事をしていると、気づかないうちに間違ったことをしてしまう危険があります。「この手続きの根拠条文は何か」を常に意識できる人は、現場で本当に頼りにされます。
また、自分のやっていることの根拠がわかると、自信を持って仕事ができるし、当事者や弁護士から説明を求められたときにきちんと答えられます。「なんとなくこうしている」ではなく「この条文に基づいてこうしている」と言える人は、仕事の精度と説得力が大きく違います。
知識は採用されてから日々の業務の中で身についていくものなので、最初から全部知っている必要はありません。



ベテランだって、わからないことは先輩や同僚、後輩に聞きながら仕事をしています。
逆に、「別に覚えなくていいや」という姿勢の人は、職場で苦労することになるかもしれません。
③相手に合わせた対応力|おもいやり・公平性・コミュニケーション
「おもいやり」と「公平性」って、一見矛盾しますよね。個人に親身になる一方で、裁判所は公正中立でなければならない。結局これはバランスの問題であり、正直一番難しいところです。
裁判所の窓口には、さまざまな人が来ます。法律のことをまったく知らない一般の方もいれば、毎日来るベテランの弁護士さんもいます。相手によって話し方や説明の仕方を変えられるかどうかが、コミュニケーション能力の核心です。
たとえば、初めて来た方に「申立書を提出してください」と言っても、「申立書って何?」となってしまいます。一方で弁護士との事務連絡では、正確な法律用語でテンポよくやり取りすることが求められます。この「相手に合わせて話し方を変える」スキルが、裁判所のコミュニケーションの要です。
そして、わかりやすく説明するには結局知識が必要です。知識がなければ説明もできない。なので②の「向上心・知識欲」とコミュニケーション能力は、実は密接につながっています。
また、コミュニケーションは窓口の相手だけではありません。職場の同僚、上司、後輩との連携も大切です。そして、裁判所書記官になると、裁判官・検察官・弁護士・証人・通訳人など、対応する関係者がさらに増えます。裁判所事務官のうちから、さまざまな人とうまくやっていける素地をつくっておくことが大切です。
年下の上司・年下の裁判官との付き合い方
長く働いていると、年下の裁判官や年下の上司が出てきます。「年下なのに上の立場」という状況に違和感を覚える人もいるかもしれませんが、それをうまく受け入れられるかどうかも大事な要素です。年下だろうが年上だろうが、相手の立場を尊重しながら変わらず対応できる人は、どの職場でも重宝されます。
私の経験ですが、相手が誰であろうと一律に敬語で話すのがおすすめ。「そんなこと?」と思うかもしれませんが、一律に敬語で話すとあまり年齢を意識せずに済みます。
④最後までやり切る力|集中力・責任感・正確な作業
裁判所の仕事は、一つひとつの案件を最後まで責任を持って処理することが求められます。途中でうやむやにしたり、「まあいいか」で放置したりすることは許されません。期限があり、相手がいて、法律に基づく手続きである以上、やり切る責任感は必須です。
集中力も同様です。一見単純そうな書類確認作業でも、何十件も続くと集中力が切れやすくなります。そのミス一つが大きなトラブルにつながることもあるため、集中を維持しながら正確に処理する力は、裁判所の仕事において非常に重要です。
ただし、これも最初から完璧にできる人はいません。慣れと工夫で身についていくものです。チェックリストを使う、声に出して確認する、など自分なりのルーティンを作っている人が多いです。チェックリストも、だいたいどこの部署も使っているので、初めてでもちゃんと仕事ができます。



かくいう私もチェックするときは声に出しています。ひとりごとブツブツ言っています。そういう人も結構いるので、変人扱いはされないので大丈夫です。
まとめ|全部できなくても大丈夫
ここまで読んで、「こんなに全部できないといけないの?」と思った方もいるかもしれません。でも正直、これら全部が飛び抜けている人って、なかなかいません。
「あの人は当事者対応が上手」「あの人は何でも知っている」「あの人はミスが少ない」という形で、それぞれ得意なことが違います。職場はチームですから、お互いの得意・不得意を補い合いながら仕事をしていくものです。
大事なのは、苦手があっても素直に学ぼうとする姿勢と、周りと協力できる柔軟さではないでしょうか。完璧なスペックよりも、一緒に働きやすい人であることの方が、現場では大切だったりします。
この記事が、裁判所事務官を目指している方や、仕事の向き不向きを考えている方の参考になれば嬉しいです。ちなみになかのひと、当事者対応は今も苦手です(笑)。








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